The days with Philippe Baudelocque in Paris 2 – エルメス パリ左岸店でのライブドローイング part2
The days with Philippe Baudelocque in Paris2
気がつけばそろそろ梅雨も明け、夏が始まりそうです。
前回投稿より少し日が経ってしまいましたが、春のパリでチョークアーティスト、フィリップボードゥロクと過ごした日々の続編をお届けします。
エルメス左岸店内でのドローイングとサイン会を終えた翌日、4月14日、日曜日。
パリの多くのお店と同じように、エルメスパリ左岸店も日曜は定休日。
前日の疲れもあるはずなのにパリ観光に付き合ってくれるというフィリップ。
その言葉に甘え、パリの街の中のフィリップの作品が見たいとリクエストしました。
まずは10区にあるフランソワーズ サガン図書館へ。
フィリップによると、周辺は実はもともとあまり治安の良くないエリアで、地域環境の改善を目指し建設された図書館とのこと。
「夜に1人で来たりしたら危ない場所だからね。通りが1本違うだけで危険だからね。」と、道すがら教えてくれるフィリップ。
そうこうしているうちに、ある角を曲がった途端、目に飛び込んできたのは想像をはるかに超える大きさの作品でした。
この作品はちょうど図書館の正面玄関の向かいに描かれています。
図書館のオープンに合わせたタイミングで制作を依頼されたそうです。
フィリップに入ってもらって記念撮影しようとするも、どうしても写り込む走り回る子どもたちの姿は、まさに、彼の作品がパリの街に、ストリートに溶け込んでいることの象徴に感じられました。
彼らにはこの作品はどのように映り、何を感じているのだろう。
それが無意識であったとしても。
大きな作品の中のいくつもの宇宙、いくつものストーリーに思いを馳せると、時間を忘れていました。
フィリップと何度か「もう充分?」「まだ」というやり取りを繰り返しました。
乾いた空気に流れる静かな風、抜けるような空、そして子供たちの声と足音が、作品を目にした瞬間の感動と共に、ずっと私の記憶に残っています。
美術館での鑑賞とは違う、ストリートに存在するアートは、まさに体験であり、ふと通り過ぎる日常を人生の鮮烈な記憶に変えることがあることを実感として知らされました。
その後はレ・アル駅へ。
次回へ続きます。